【前書き】
 シリーズ、イツツノモノガタリの第1の物語。
お金持ちの屋敷に仕えた美しい少女のモノガタリ。。。

【主な登場人物】
レイカ・ヴァニラール(17)
この物語の主人公。
若くして屋敷に仕える彼女は優しい性格で誰からも愛される。その反面嫉妬深く、一部の家臣からは恐れられている。
レイナ・ヴァニラール(16)
レイカ・ヴァニラールの妹。姉について入ってきた。
容姿は姉のレイカによく似ているが、ドジで、よく叱られている。
ゼルゥム・デ・ルートリオン(18)
レイカ・ヴァニラールが仕える屋敷のご主人。若くて容姿がよく、人気がある。
レイカ・ヴァニラールとは幼馴染の仲で、人一倍信頼している。
ゼルゥム・デ・レヴェッカ(16)
ルートリオンの妹。美しいがわがまま。
ヴェロニカ・ルンフォーレ(17)
レイカ・ヴァニラールの親友で同時期に屋敷に入った。
ご主人のルートリオンに好意を持つ少女。
ギン・シルバーフォース(17)
ルートリオンのかつての親友で、屋敷に仕えてからは料理長として活躍している。
また、屋敷一番の切れ者で、ルートリオンからよく相談を受ける。
マレェナ・ドゥクトゥアム(15)
新たに入ってきた少女。仕事はできるが暗く、人とのかかわりを好まない。
また、素性も不明で、なぞが多い。


【本編】
 少女の名前はレイカ・ヴァニラール。この屋敷で召使をしている17の少女である。
 彼女は優しく、仕事熱心でまわりの人々からも慕われていた。

 ある日、可愛いレイカはご主人様ルートリオンに呼び出しをうけた。

 レイカは彼の部屋に訪れた。

  レイカ 「お呼びでしょうか、ご主人様
 レイカは頭を下げる。

 ルートリオン  「やぁ よくきたね」

 彼は玉座に腰掛けていた。

 その隣には、メイド服を着た1人の少女がいた。

 ルートリオン 「今日からここで働くことになったマレェナ・ドゥクトゥアムだ。

 マレェナ 「今日から新しく入りました、マレェナと申します。」
 少女は頭を下げた。
  ルートリオン 「お前を呼んだのはこの子の面倒を見てほしくてな。頼まれてくれるか?」

  レイカ 「かしこまりました。ご主人様
  レイカはマレェナと一緒に部屋から出た。
 
 まず屋敷のルールなどを教え、一通りの仕事内容を教えた。

  レイカ 「とりあえずはこんなもんかな。わからなかったらいつでも聞いてね」
 レイカはそういって彼女の元を離れた。
  レイカ (それにしても、いまごろ新しい召使だなんて、ご主人様はいったい何を考えてるのかしら、、)
 
 やがて、夜になり、自室へと戻るレイカ。 もうすでに妹のレイナはベッドで寝ていた。

  レイカ 「また新しく手のかかる子がふえたわね

 
 レイカはそういって笑い、そのままその夜はねた。


 
この日を境に、運命は大きく狂いだす 

 翌朝、屋敷から大きな悲鳴が上がった。

 レイナとレイカは急いで、広間にむかった。
 
 レイナはその場にいた、料理長ギン・シルバーフォースにたずねた。

 ギン 「わからない、いきなりご主人様の部屋からヴェロニカの悲鳴が上がったのだ。今、屋敷の者たちが見に行ってると思うが・・・」


 2人は急いで、ご主人様の部屋へむかった。

 ドアを開けた2人が見たものは、想像をはるかに超えていた。

 レイカ 「うそ・・・・・」
 レイナ 「い。。。いやぁあ」
 

 ご主人様の部屋にあったのは

 
  ご主人の妹、ゼルゥム・デ・レヴェッカの遺体であった


 部屋には腰が抜けた召使と、泣き崩れるゼルゥム・デ・ルートリオンがいた。

 見たところ死因は心臓発作と思われたが、駆けつけたマレェナ・ドクトゥウアムがこう言った。

 ‘私には多少の医学の知恵があります、、、

  レヴェッカ様は病で亡くなられてはいません

 何者かに毒を盛られた可能性が高いです、、、”

 また何者かによって病死に見せかける細工が施されてます、、、



 それを聞いたルートリオンは涙をさらに流し、うなりながらえずく。

 ルートリオン 「だれが俺の大切な大切な妹を、、、たった一人の家族を、、!!」

 レイカはご主人様に駆け寄ろうとするが

 ルートリオン 「くるな!!俺は誰も信じねぇ!!!」


 レイカ 「ごっ、ご主人様、、、、」
 (私も疑うの?)


 料理長ギンもようやく駆けつけた。

 ギン 「おいおい・・うそだろ・・」

 するとルートリオンはギンにつかみかかった。

 ルートリオン 「おまえか???おまえが俺の可愛い妹を毒で、、、、ゆるさねぇ!!!お前も殺してやる、、、、!!」


 ルートリオンはかつての親友ギンの首を締め上げる。

 あわてて家臣が彼を取り押さえる。

 ギン 「っっ。。。ルートリオン、私がお前を裏切ると思うのか???」

 ルートリオンはうつむきつぶやく。

ルートリオン 「すまない、、、、少しの間1人にしてくれ。。。。」


 家臣や召使たちはひとまず、ご主人の部屋を後にした。

 やがて、広場に召集がかかった。

 上のベランダから暗く冷徹な顔をしたルートリオンが口を開く。

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 ルートリオン 「この中に裏切り者がいる。
                           誰も信じてはならん」


 次の日からルートリオンは部屋に閉じこもってしまった。

 彼が唯一信頼している食事係のヴェロニカ・ルンフォーレ以外の人は親友のギンでさえも彼は拒んだ。
 
 ギン 「ルートリオン。。。お前は私を信じないのか?」

 彼は鍵を閉められた部屋の扉に向かって叫ぶ。

 しかし、扉の向こうから返事はない。

 そんな時、レイカが声をかける。

 レイカ 「ギン様。私がご主人様と話してみます。


 レイカは親友ヴェロニカが持っていた合鍵を譲り受け、扉を開けて中に入っていった。

 ルートリオン 「ヴェロニカか?飯はまだいらぬといったはずだが」
 ご主人様はベッドに座り込んでいた。

 レイナ 「私です。レイカ・ヴァニラールです


 すると、急にルートリオンは立ち上がって近くにあった銃を手にする。

 そして震えながら言う。

 ルートリオン 「おおお前、、、どっ、、どうやってここに入ってきた??
まさかヴェロニカを殺したのか?私を殺しにきたのか
!?」


 ルートリオンは震えながら酷く怯えていた。

 レイカ 「いいえ、ヴェロニカから鍵をお借りしたのでございます。
あなた様にお話があるのです」


 レイカはそっとゆっくりと近づいていく
 レイカ 「私が犯人を見つけだします。                                                                                                                       ですから私だけは信じてください」

 そういって彼女は恐れずに拳銃をもったルートリオンに抱きつきました。


もし、私も信じられないというのならば、
今ここで殺してください


ルートリオンはまっすぐこちらを見る彼女をみる。

 彼女の瞳の中には恐怖や嘘は見えなかった。


 ルートリオンは黙って撃つのをやめる。

  ルートリオン 「わかった。お前だけは信じよう
 (そういえば昔っから正直ものだったな、、、)
 そういって彼は笑顔でレイカをなでた。

 レイカは一旦ルートリオンから離れて、軽く会釈をして部屋を後にした。

 そしてひとまずギンの元へと向かっていった。

 途中、新入りのマレェナと出くわした。

 彼女は挨拶もしないでレイカとすれ違った。

 レイカ (あら嫌だ。礼儀のなってない子ね!あとでみっちり指導しちゃうんだから!)
(それにしてもあの子が医学にくわしいだなんてなんだか意外だわ)

 レイカはそう思いつつも、今は先に進んだ。

 そして調理室に入ろうとしたとき、ヴェロニカとギンの会話が聞こえてきた。

 レイカはこっそりと耳をすませる。

 ギン 「これで今度こそうまくいくはずだ」

 ヴェロニカ 「さすがはギン様、頭がよろしいこと」
 (クスクスと笑う

 ギン 「こうなったら俺らがやるしかないからな。片っ端から試すとしようか」

 ヴェロニカ 「ちょっとは後片付けする私の気にもなってくださいよね」

 ギン 「あはは。さて、仕事に戻ろうか」

 ヴェロニカ 「はい」


 やがて、調理室からヴェロニカが出てきた。

 ヴェロニカ 「あら、レイカ。ご機嫌いかが?」

 ヴェロニカは軽く会釈すると逃げるようにその場を去っていった。

 彼女は何か隠しているようであった。

 全てを聞いていたレイカ。調理室から離れて自室で整理する。

 レイカ (今度こそうまくいく?いったい何が、、、)
      (片っ端から試す??ギンの考えってなによ、、、、)
      (後片付け??何の後片付けよ。。。。)

 レイカは頭を抱えた。

 そしてひとつの結論にたどり着く。

‘ご主人様を毒殺しようとしてるんだわ”


《今回の事件はのレヴェッカ様が毒入りの食事をつまみ、そして亡くなった、、、
 レヴェッカ様のきまぐれが結果ご主人様を守った。

 おそらく毒を仕込んだのはギン・シルバーフォース。
 ご主人様を殺そうとしたのはこの男。
 
 そして料理を持っていったのは
 ヴェロニカ・ルンフォーレ。後片付け、、、、つまり毒殺を病死に見せかけるのが彼女の仕事、

 そしてことがすんだら彼女は悲鳴を上げて全員に病死したことを確認させようとした。

 しかしここで誤算が起きた、新入りの召使の医学の知恵により毒殺がばれた。

 2人は今度こそ案を練っていま行動に出ようとしている。

 つまりこれが真実か。。。。。》




 レイカはすぐに行動に出た。

 料理長ギンと食事係ヴェロニカに睡眠薬入りコーヒーを飲ませて
 誰もいない地下室に持っていった。

 やがて2人は目覚めた。

 そしてレイカは2人に銃を向けた。

 ギン 「なんだ??なんでこんなことをするんだ、、」

 ヴェロニカ 「レイカちゃん・・・・どうして???」

 レイカは無表情でこう言った。

 ゛あなたが裏切り者ね?”

 レイカはその場でヴェロニカ・ルンフォーレとギン・シルバーフォースを射殺してしまった。

 そしてご主人ルートリオンのところに向かった。

 ルートリオンはレイカをまた深く彼女を抱きしめた。

 そして彼はこう言った。

  ゛裏切りもののは2人だけとはかぎらないよ”

 レイカは笑顔でこう言った。

 あなた様は、私が守ります

彼女はまた、裏切り者を探し始めた。

 やがて、消えたギンのことを心配するものたちが出始めた。

 レイナ・ヴァニラールは姉に尋ねる。

 レイナ 「お姉さま。昨日ギン様とお話しておりませんでしたか??」

 レイカは静かにこう言いった。

  レイカ 「私を疑うの?そう、あなたが裏切り者ね?」

 そういうと彼女はレイナをギンと同じように地下室に連れて行く。

 レイナは、ギンとヴェロニカの遺体を見て崩れ落ちた。

 レイナ 「ああ なんということでしょう、、、お姉さま、、、、」

 
 振り向いたレイナが最後に見たものは無表情で銃を向ける姉の姿だった。

 彼女はその手で実の妹を何のためらいもなく殺してしまった。


 彼女はまた、ご主人のもとへと向かう。

 レイカ 「また裏切り者を殺しました」


 

 ルートリオン 「君は本当に゛よくできる子”だね。さぁおいで」


 彼はレイカをまた可愛がる。

 そして最後にこう言った。

  ゛裏切りもののは3人だけとはかぎらないよ”

 レイカはまた裏切り者を探し始める。

 妹と親友がが失踪したのに平気でいるレイカを周りの人々は怪しみ始めた。

 ある日、無口なマレェナが話しかけてきた。

 マレェナ 「妹がいなくなったのにあなたは平気なのですか???」

 するとレイカはこう言いった

私を疑うの?そう、あなたも裏切り者ね



 
 やがて屋敷には彼女とルートリオンの2人だけになった。

 すべての仕事を終えたレイカはルートリオンに抱きつく。

 ゛裏切り者を全員殺しました”


 ルートリオンは彼女の顔をみてこう言いった。




 ゛果たしてその中に
      裏切り者はいたのかな?”






 バンッ、、、、、

 その瞬間レイカの胸に鋭い痛みが走る。

 あいた風穴、あふれ出す赤い液体、止まらぬ涙。

 倒れこむレイカはご主人を見ました。

 かれは無表情でこう言いました。




 
 
 ゛皆を疑い殺したお前も

        『裏切り者』だ”
 
  



レイカは薄れ行く意識の中でレイカは部屋の机の上にあるものを発見しました。。。

 それは大きな大きなケーキとメッセージカードでした。

    かろうじてメッセージカードの文字が読めました。


 
‘親愛なるゼルゥム・デ・ルートリオン様”


 私たちはあなたを愛しています

  世界で一番あなたを愛しています

      By.料理長ギン・シルバーフォース
         食事係ヴェロニカ・ルンフイォーレより


 そして涙でかすむ意識の中最後に気づきました。

ゼルゥム・デ・レヴェッカ殺し
すべての始まりになった゛裏切り者”が誰なのか・・・・・



 それは・・・・・・・



やがて、風のうわさで国中の人たちに知れ渡りました。


 町外れの屋敷で、召使、レイカ・ヴァニラールが屋敷の者たちを虐殺し、最期は拳銃にて自殺。

 屋敷の主、ゼルゥム・デ・ルートリオンは行方不明。



                                   
 END
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